<とんぼ玉>

●歴史
とんぼ玉の歴史はとても古く、紀元前2500年頃にメソポタミアで作り始められました。
古代メソポタミアや古代エジプトで作られていたのは、
同心円文様という文様です。
そこから長い時を経て、世界中に広まるにつれ、
やがて人面文様や花柄文様などの技法が生まれていきました。


日本では江戸時代頃から作られているようです。
その頃は炭火の熱でガラスを溶かして作っていました。
また、とんぼの目玉に似ていることから、この呼び名になったとか。
といってもこの「とんぼ玉」という日本名称、いまいち漠然としているようです。
その名称で呼ばれるようになったのは江戸時代中期からで
それまでは「とんぼ玉」という名称はなく
筋玉、雁木玉など文様や形の名で呼ばれることもありました。


異国で作られたガラス玉が日本に持ち込まれたのはもっと古く
8世紀の日本の伝統やその土地の風俗習慣などを記録した「風土記」に
すでにとんぼ玉に纏わる伝説が記されています。
またとんぼ玉は日本の古墳からも出土しています。
それらはガラスの成分や技法の特徴からして地中海域で作られ
色々な国を巡り、日本に持ち込まれたものと推測されています。


ガラスは長い年月が経つと石化します。
何百年も前に作られたというとんぼ玉をつけてみたことがありますが、どこか不思議な味がありました。
はるか昔の人が技術を駆使して作ったとんぼ玉は、どんな国を巡り、どんな歴史に身を任せたのでしょう。



●作り方
とんぼ玉の作り方は、まずガラスを炎で熱し、鉄芯に巻き取り熱で丸くします。
そこに細引きしたガラス棒で点打ち模様をつけたり、
様々な単色ガラスを組み合わせて作ったパーツを埋め込んでいきます。
逆に大昔は、丸くしたガラス玉がまだ柔らかいうちに鉄芯を挿して作る方法もあったようです。



●とんぼ玉の魅力
人々が丹精込めて作り続けてきた美しい文様玉。
はるか昔から装飾品として人々を魅了していただけでなく、魔除けとしても重宝されてきました。
天然の石の模様に手を加えることは不可能ですが
ガラス玉には様々な技法で好みの模様をつけることが出来るため
これらの美玉は宝石よりも重宝され、時に魔性のように人々の心を深く魅力していきました。



                                      
参考文献・「トンボ玉」「ガラス入門」由水常雄著

とんぼ玉とは?

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